京大東南研(CSEAS)の月刊ニューズレター「かもがわ便り」6月号の挿入画を担当しました!
2024年6月のニューズレター記事は小林知教授(地域研究、人類学)による「京都を歩き、想像を拡げる」。紹介されたのは、安丸良夫氏による『神々の明治維新―神仏分離と廃仏毀釈』(岩波新書、1979年)と網野善彦氏による『増補 無縁・公界・楽―日本中世の自由と平和』(平凡社ライブラリー、1996年)。2冊の書籍はそれぞれ日本の異なる時代について記述されたものですが、エッセイ著者が記すように、現代では見られない宗教と人々の暮らしのつながりを描いた点で共通しています。
明治時代、庶民の暮らしに深く根付いていた種々の宗教を否定し、神道国教化を強引に推進した新政府。信仰を脅かされた庶民達が一揆などを通して政府に強く反発し、最終的に政府が神道国教化を断念せざるを得ない形になるまでの歴史を克明に綴ったのが1冊目の書籍です。
2つ目の書籍では、遡って中世時代の日本において寺社が担っていた社会的な機能である「無縁」・「公界」という、俗世と切り離された場と庶民のつながりを記述しています。どういった人々がそこを目指し、どのように救われていたのかを歴史的書物の一文一文を具に解説して紐解いています。
現代よりもずっと身近に宗教があった中世・明治時代の庶民の暮らし。時代の流れと共に宗教観や社会における宗教の機能は大きく変わるものなのだと改めて感じさせられました。
◆挿入画解説◆
社会における宗教と庶民とのつながりが時代横断的に変化していく様を、画面下を中世、画面上を明治維新以降の日本として描くことで表現しました。
中世では寺社の「無縁」・「公界」としての機能、仏様や土地神などの神様へのお参りなど、仏教や神道その他の神を祀る宗教が庶民の日常の中にあり人々の生を支えていた様子を、明治維新以降は国の方策で神道国教化が強引に推進され、従来の宗教を否定された庶民から多くの反発があった様子を表現しました。