京大東南研(CSEAS)の月刊ニューズレター「かもがわ便り」3月号の挿入画を担当しました!

2026年3月のニューズレター記事はオフィンニ ユディル氏(医学、地域ゲノミクス)による「ある生命科学者の幻滅」。

ニコラス・ローズ氏の The Politics of Life Itself: Biomedicine, Power, and Subjectivity in the Twenty-First Century. (Princeton University Press, 2007.)が紹介されました。

※邦訳は『生そのものの政治学─二十一世紀の生物医学、権力、主体性』(ニコラス・ローズ、檜垣立哉監訳、小倉拓也・佐古仁志・山崎吾郎訳法政大学出版局、2019年)

挿入画解説

最先端のバイオテクノロジーが「遺伝学的リスク」を可視化し、「生殖技術」や「精神薬理学」を向上させ、「クローン・臓器移植」を可能にしたことで、より「最適な」遺伝子・細胞・人間までもを作ることができる可能性が生まれた現状(画面左)と、その未来(画面右)をイラストによって表現しました。

人々と細胞は、より「最適」になるために、バイオテクノロジーとその新たな医療可能性(病気の治療・未然の対処)に追従しますが、遺伝学的リスクは優生学思想へ、生殖技術が子どもの遺伝子操作につながるように、個々の技術には個人レベルから国家レベルまでの生命政治・生物学的責任がはらんでいることを、画面左の行進する人々や細胞と、洞窟に入れられる人々や細胞で表現しました。

書籍著者とエッセイ著者が、バイオテクノロジーの恩恵だけでなくその政治・倫理的な課題にも眼を向ける必要があると解くように、バイオテクノロジーが人類にとってより良い道を拓くかどうかは、技術を盲信し追従するのではなく、さまざまな可能性や責任も考慮したうえで今後私たちがどう判断していくかで決定されるものであると考えます。

そのことを、画面左の現在の道が、画面右上の「最適化」の王国(バイオテクノロジーによって達成されるより最適な「私」、あるいは「国」)へと続くなかで一旦画面枠外にそれ、果たして本当に最適化の王国へと続いているかは、現時点で確証が得られないという状態で表現しました。

※イラスト中の文言はすべて書籍(原著)から引用したものです。