京大東南研(CSEAS)の月刊ニューズレター「かもがわ便り」5月号の挿入画を担当しました!

2024年4月のニューズレター記事はカロライン・ハウ教授(国際関係論、地域研究、文学)による「好奇心の陳列棚」。紹介されたのは、レシル・モハレス氏による『Enigmatic Objects: Notes towards a History of the Museum in the Philippines』邦訳は未刊行(アテネオ・デ・マニラ大学出版会、2023年)

本著はフィリピンの博物館とそこに集められた収蔵物について詳細に記述しています。元あった時間と場所から切り離し、学問分野ごとに収蔵物を陳列させる現代の展示方法が時代の変遷・植民地支配の歴史とともに確立されていったものであること、個性的で魅惑的な収蔵物がどのように人々の関心を集め、博物館へと収蔵されるに至ったかなど、終始丁寧な文章で綴られます。

国・地域・時代・作者から切り取られ、分野・年代ごとに並べられ、見る者の目を楽しませる収蔵物。その裏にある博物館の成り立ちや収蔵物の辿った歴史について、本著を読みながら思いを馳せてみてはいかがでしょうか。

好奇心の陳列棚 – CSEAS Newsletter

カロライン・ハウ(国際関係論、地域研究、文学) マニラの小学校に通っていた頃、校舎の2階に動物の標本が展示された陳列棚があり、私はよくそこに入り浸って休み時間を…

◆挿入画解説◆

一つの章に一つずつ丁寧に解説が書かれている様がまるで博物館の陳列を見ているような気分になる書籍で、かつエッセイからはエッセイ著者のわくわくする気持ちが伝わってくるため、書籍に登場する象徴的な収蔵物を描写し、イラストを見た人が収蔵物の一つ一つに目を走らせ、興味をそそられるような演出にしました。(「the Vitrines of Curiosities」は書籍中の文言を借用)

海に浮かぶフィリピン・東南アジアの多島を連想させる白い線の模様を描くことで、手前に描写されたアイテムがそうした地域から採集されてきた背景を暗に示しています。