京大東南研(CSEAS)の月刊ニューズレター「かもがわ便り」2月号の挿入画を担当しました!

2024年2月のニューズレター記事はShaun Mackeyさん(考古学)による「歴史の痕跡」。

今回紹介されたのは書籍ではなく、考古学の一手法。現在残されている遺跡やその周辺の風景を、第二次世界対戦期から戦後に撮影された航空写真やLiDAR(Light detection and ranging)技術によって、その土地・建造物が映し出す過去の姿を「読み取る」考古学の取り組みについて語られています。

※ここで紹介されている航空写真は東南アジア地域研究研究所の地図・資料室が所蔵する「ウィリアム・ハント・コレクション」

当時の姿からは「欠けて」しまっている現在の姿を、航空写真やLiDAR技術によって補完し復元する作業をなぞらえて、その「風景」を「パリンプセスト(以前に記された字句を部分的または完全に消去した羊皮紙などの獣皮紙の表面に、新たに字句を記した写本(※本記事記事引用))」と表現している点が言い得て妙です。

現在残された痕跡から過去の姿を復元するとは、まさに時の探偵。

考古学の魅力の一端を知ることができる本記事、ぜひ一度お読みになってください🐾🔍

歴史の痕跡 – CSEAS Newsletter

ショーン・マッキー(考古学) パリンプセスト <em>palimpsest</em> 以前に記された字句を部分的または完全に消去した羊皮紙などの獣皮紙の表面に、新たに字…

◆挿入画解説◆

カンボジアの世界文化遺産である「アンコールワット」をモデルとした遺跡について、航空写真とLiDAR技術を用いて当時の姿を再現する様子を表現しました。

空からの視点が肝となる研究であるため、「空」が印象的に映えるよう下から見上げるような構図にしています。

過去(航空写真とLiDARによる再現像)と現在(朽ちた遺跡)をつなぐ、時を超えてその土地を見守ってきたであろうものの象徴として、木や鳥、雲を描きました。