京大東南研(CSEAS)の月刊ニューズレター「かもがわ便り」12月号の挿入画を担当しました!
2024年12月のニューズレター記事は帯谷知可氏(中央アジア近現代史、中央アジア地域研究)による「ウクライナ戦争を語る人文学の底力」。紹介されたのは『現代思想』の2022年6月臨時増刊号「総特集 ウクライナから問う―歴史・政治・文化」。
2022年2月24日にロシアがウクライナに侵攻を開始してから、実に3年が経とうとしています。
本著は戦闘開始直後の同年5月末に臨時増刊号として発行されており、社会学・歴史学・文学・地域研究・政治学・倫理学などさまざまな分野の研究者による論考と、作家・芸術家・報道関係者など文化人からの寄稿が数多く掲載されています。
突如として始まった戦争。
旧社会主義圏として文化と歴史を共有する国が、出自も相互に入り乱れ民族的にも分かちがたい地域にある国同士が、なぜ今戦争することになるのか。
本著を読むことで戦争の背景を理解する一助となるとともに、辛く苦しい現実に向き合い逃げずに行動する人々の姿勢が目前に立ち上り、エッセイ著者の一文がより重く響きます。
「戦火や抑圧のなかにいる人々のことを思えば、宝箱のようなこうした書物をたやすく手にすることができる環境にたまたまいることの幸運を私たちは噛みしめねばならないと思うのである。」
どのような職業に従事していようと、よりよい世の中にしていくためにも、問題に向き合い自分なりの方法で行動していくことが大事だと、改めて感じさせられるエッセイと書籍です。
◆挿入画解説◆
画面左をウクライナ、画面右をロシアとし、左上には諸外国(特にNATO。ウクライナを挟んでプーチンと対立している図)を描いています。
ロシアとウクライナは旧ソ連として歴史的・文化的な同一性があるということを、旧社会主義圏の象徴ともいえる集合住宅(フルシチョフカ)で表現し、また同じ言語を話し、出自も相互に入り乱れる民族的にも分かちがたい地域であることを、色の異なるさまざまな花を画面の左右に散りばめることで表現しました。
兄弟分のウクライナを攻撃することではプーチンの望む強いロシアの実現は叶わないばかりか、かえって弱体化させてしまっていることを、フルシチョフカのドミノで表現しました。