京大東南研(CSEAS)の月刊ニューズレター「かもがわ便り」1月号の挿入画を担当しました!
2025年1月のニューズレター記事は久納源太氏(地域研究、都市研究)による「牢、域、街」。紹介されたのは『恐怖の国:ポストコロニアル都市の警察』(2024年、原題State of Fear: Policing a Postcolonial City、邦訳は未刊行)。
インドネシア・ジャワ島に位置する都市バンドンの街が舞台となる本著。
司法や行政による「監視」とギャング達による「縄張り」支配が混在しながら街の「安全」が確保されている様相を、インタビューや歴史考証を通して鮮明に描きます。
災害時や戦時下など有事の際には街の司法・行政が通常通り機能せず、法とは異なる基準で統治行動しようとする自警団が結成されることがありますが、バンドンの街は有事でない普段の日常の中にこうした自警組織に該当する集団(ギャングやごろつきなど)や「siskamling (=neighbourhood watch)」が存在し、これが警察や刑務官といった国による司法と共存しています。
これらの自警組織や地域の相互監視(見守り)と司法や行政の関係性を紐解くことで見えてくる世界はなんなのか。
◆挿入画解説◆
行政によるパノプティコン風の監視とギャングや犯罪者達による縄張り支配が社会全体に混在する様相を、監視塔を中心に、牢獄・街を周囲に描くことで表現しました。
具体的には、監視塔に照らされた場所では安全が保たれているように見えますが、影になった部分や監視員から見えにくいところでは、siskamlingや「警備費」の徴収に代表される縄張り形成が起こっています。